クボ アツシ
KUBO ATSUSHI
久保 敦士 所属 保健医療学部 救急救命学科 職種 講師 |
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発表年月日 | 2005/05/24 |
発表テーマ | バイスタンダー AED 後の院外心停止に対する エピネフリン投与と神経学的転帰 - 全国規模後ろ向き観察研究 - |
会議名 | 第 39 回日本 Shock 学会学術集会 |
学会区分 | 全国学会 |
発表形式 | 口頭(一般) |
単独共同区分 | 共同 |
発表者・共同発表者 | 久保 敦士, 平出 敦, 篠崎 智大, 柴田 尚明, 宮本 恭兵, 田村 志宣, 井上 茂亮 |
概要 | 背景 院外心停止(OHCA)において、バイスタンダーによる自動体外式除細動器(PAD) の使用は、神経学的転帰の改善と生存率向上に寄与する。しかし、PAD 後の救急 隊によるエピネフリン投与が神経学的転帰に及ぼす影響は依然として不明であ る。本研究では、日本全国の OHCA 患者を対象としたウツタインレジストリのデー タを用い、PAD 後のエピネフリン投与が 1 ヶ月後の神経学的転帰に及ぼす影響を 評価した。
方法 2005 年から 2021 年にウツタインレジストリに登録された 2,059,417 例の OHCA 患 者のうち、PAD が適用された 11,629 例(0.56%)を解析対象とした。救急隊到着 時の初期波形に基づき、ショック適応群(38.6%)とショック非適応群(61.4%) に分類した。傾向スコアマッチングを用いて交絡因子を調整し、主要評価項目を 1 ヶ月後の良好な神経学的転帰(CPC1 または 2)、副次評価項目を生存率および自 己心拍再開(ROSC)率とした。 結果 エピネフリン投与は、1 ヶ月後の良好な神経学的転帰の低下と関連していた。シ ョック適応群では、エピネフリン投与群の良好な神経学的転帰率は 14.7%で、非 投与群の41.1%より有意に低下していた(OR 0.24、95% CI 0.19–0.31)。ショ ック非適応群でも、エピネフリン投与群の転帰率は 3.6%と、非投与群の 10.8% より低かった(OR 0.31、95% CI 0.23–0.42)。ROSC率については、ショック適 応群ではエピネフリン投与により低下(23.3% vs. 50.4%、OR 0.29、95% CI 0.24–0.36)したが、ショック非適応群では増加(25.5% vs. 18.3%、OR 1.52、 95% CI 1.29–1.80)した。 結論 PAD 後のエピネフリン投与は、神経学的転帰の改善につながらず、特にショック 適応群ではその有益性が認められなかった。一方で、ショック非適応群において は ROSC 率の上昇と関連していたが、神経学的転帰の改善には寄与しなかった。本 研究の結果は、OHCA に対する救急医療のプロトコルの再評価が必要であることを 示唆し、エピネフリンの適用基準や投与タイミングの最適化が今後の課題であ る。 |
researchmap用URL | https://www.nature.com/articles/s41598-024-84950-8 |